はじめに
「ダイエット中だけど、お酒は飲みたい…」そんな悩みを抱えていませんか?「お酒を飲むと太るから我慢するしかない」と思っている方も多いかもしれません。しかし、実はダイエット中でも飲み方や飲酒量を工夫すれば、お酒を楽しみながら体重管理を続けることは可能です。本記事では、厚生労働省のガイドラインやアルコールと肥満に関する研究論文をもとに、お酒が太るといわれる理由や適量の考え方、ダイエット中におすすめのお酒・おつまみを分かりやすく解説します。無理にお酒を我慢せず、健康的にダイエットを続けるためのポイントを一緒に見ていきましょう。
ダイエット中のお酒はいいのか?

結論から言うと、ダイエット中でもお酒を完全にやめる必要はありません。 大切なのは、「お酒をやめること」ではなく、「上手に付き合うこと」です。「お酒を飲むと太る」とよく言われますが、最近の研究では適量の飲酒が必ずしも体重増加につながるとは限らない一方、大量飲酒は肥満や体重増加と関連する傾向があると報告されています。また、アルコールにはカロリーがあるだけでなく、体内で優先的に分解されるため、一時的に脂肪燃焼が抑えられたり、食欲が高まって食べ過ぎにつながったりする可能性があります。しかし、飲酒量をコントロールし、高タンパク・低脂質のおつまみを選ぶなど、飲み方を工夫すればダイエットへの影響を抑えながらお酒を楽しむことは十分可能です。厚生労働省も「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」で、飲酒量は純アルコール量を目安に管理することを推奨しています。ダイエット中でも「お酒を禁止すること」ではなく、飲み過ぎを避け、適量を守りながら上手に付き合うことが大切です。
次の章では、なぜ「お酒を飲むと太る」と言われるのか、その仕組みを研究結果や公的機関の情報をもとに分かりやすく解説します。
お酒は太るといわれる理由
アルコールにはカロリーがある
「お酒は液体だから太らない」と思われがちですが、実はアルコールにもカロリーがあります。
アルコールは1gあたり約7kcalのエネルギーを持っており、糖質やたんぱく質(1gあたり4kcal)よりも高く、脂質(1gあたり9kcal)に次ぐ高カロリーな成分です。例えば、ビール500mL(アルコール度数5%)なら約200kcal前後あります。ハイボールやワイン、日本酒なども、飲む量が増えればその分カロリーも増えていきます。2~3杯飲むだけで、ご飯1杯分に近いカロリーを摂取してしまうことも珍しくありません。とはいえ、「アルコールのカロリーがそのまま体脂肪になる」というわけではありません。アルコールは、糖質や脂質とは違う方法で体内で処理されるためです。つまり、ダイエット中に気を付けたいのは、カロリーだけを見ることではありません。アルコールが体の中でどのように処理され、それがダイエットにどのような影響を与えるのかを知ることが大切です。
アルコールの分解が優先され、脂肪が使われにくくなる

お酒を飲むと、体内に入ったアルコールは主に肝臓で分解されます。
アルコールは体内に蓄えて利用できる栄養素ではなく、体にとっては速やかに分解・排出する必要がある成分です。そのため、肝臓では糖質や脂質よりもアルコールの分解が優先されます。アルコールは、次のような流れで分解されます。
アルコール(エタノール)
↓
アセトアルデヒド(有害物質)
↓
酢酸
↓
エネルギーとして優先利用
↓
脂肪の利用が一時的に抑えられやすくなる
お酒を飲んでいないとき、体は食事から摂った糖質や脂質、体内に蓄えられた脂肪などを使ってエネルギーを作っています。しかし、飲酒後はアルコールから作られた酢酸がエネルギー源として優先的に使われます。その間は、体脂肪や食事で摂った脂質をエネルギーとして利用する割合が低下します。
判断力や自制心が低下し、食べ過ぎにつながる

アルコールには、中枢神経の働きを抑える作用があります。そのため、飲酒すると判断力や自制心が低下し、「今日はこれくらいでやめておこう」「ダイエット中だから控えよう」といったブレーキがかかりにくくなることがあります。
その結果、普段なら控えられる唐揚げやフライドポテト、ピザなどの高カロリーなおつまみに手が伸びたり、締めのラーメンや丼ものを追加したりして、摂取カロリーが増えてしまう可能性があります。
ただし、お酒を飲めば必ず食べ過ぎるわけではありません。 食べ過ぎるかどうかは、飲酒量や食事の内容、その場の環境などさまざまな要因が影響します。
つまり、お酒で太りやすくなるのは、アルコール自体のカロリーだけが原因ではありません。飲酒によって判断力や自制心が低下し、高カロリーな料理を選びやすくなったり、食べる量が増えたりすることも、体重増加につながる要因の一つと考えられます。
上手なお酒の付き合い方
純アルコール量の考え方
ダイエット中にお酒を楽しむ場合、「何杯までなら飲んでいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。しかし、お酒の適量は「ビール〇本」「ハイボール〇杯」といった飲み物の種類だけで判断するのではなく、純アルコール量(お酒に含まれるアルコールそのものの量)で考えることが大切です。
厚生労働省が公表している「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」でも、飲酒量は純アルコール量で把握することが推奨されています。また、健康を意識する場合の一つの目安として、1日あたり純アルコール約20g程度が示されています。
純アルコール約20gは、以下のお酒がおおよその目安です。
| お酒の種類 | 純アルコール約20gの目安 |
|---|---|
| ビール(5%) | 500mL(ロング缶1本) |
| ハイボール(ウイスキー40%) | ウイスキー約60mLを使用した1~2杯程度 |
| 日本酒(15%) | 1合(180mL) |
| ワイン(12%) | 約200mL |
| 焼酎(25%) | 約100mL |
ただし、この20gという数値は、「20gまでなら誰でも安全」という意味ではありません。厚生労働省も、飲酒による健康リスクは年齢や性別、体質、健康状態によって異なるとしており、アルコールに弱い人や女性、高齢者では、より少ない量でも影響を受ける場合があります。ダイエットの観点でも、「適量だから太らない」と考えるのではなく、飲酒量をコントロールし、高カロリーなおつまみや締めの食事を控えることが重要です。
つまり、ダイエット中のお酒は「何を飲むか」よりも、純アルコール量を意識して飲み過ぎないことが、体重管理を続けるためのポイントといえるでしょう。
空腹のまま飲まない
ダイエット中だからといって、食事を抜いてお酒だけを飲むのはおすすめできません。
空腹時は胃の中に食べ物が少ないため、アルコールが小腸へ移動しやすく、血中アルコール濃度が急激に上がりやすくなります。その結果、酔いが早く回り、判断力や自制心が低下しやすくなる可能性があります。さらに、強い空腹を感じた状態で飲み始めると、食べ物への欲求も高まりやすくなります。アルコールによる食欲への影響や自制心の低下が重なることで、唐揚げやフライドポテトなどの高カロリーなおつまみを一気に食べたり、飲酒後にラーメンや丼ものを追加したりすることにつながります。
摂取カロリーを抑えるために食事を抜いても、その反動でおつまみや締めの食事を食べ過ぎてしまえば、結果的に1日の摂取カロリーが増えてしまう可能性があります。
飲酒前や飲み始めには、刺身、豆腐、卵、鶏むね肉、枝豆、野菜、海藻などを適量食べておきましょう。たんぱく質や食物繊維を含む料理を先に取り入れると、空腹を落ち着かせやすくなり、おつまみの食べ過ぎを防ぐことにもつながります。
ただし、食事をしながら飲めば、アルコールのカロリーがなくなったり、酔わなくなったりするわけではありません。大切なのは、食事を抜くのではなく、お酒と料理の量をあらかじめ決め、全体の摂取カロリーを調整することです。
高たんぱく・低脂質のおつまみを選ぶ
ダイエット中にお酒を飲むときは、お酒だけでなく「何をおつまみに選ぶか」も重要です。
飲酒中はアルコールの分解が優先されるため、体脂肪や食事から摂った脂質はエネルギーとして利用される割合が一時的に低下します。そのため、唐揚げやフライドポテト、ピザなど脂質の多い料理をたくさん食べると、摂取カロリーが増えやすくなります。
そこでおすすめなのが、高たんぱく・低脂質のおつまみです。
・刺身
・冷ややっこ
・枝豆
・焼き鳥(むね肉・ささみ・砂肝など)
・サラダチキン
・ゆで卵
・海藻サラダ
・きのこ料理
これらの食品は、たんぱく質をしっかり補給できる一方で、脂質やカロリーを比較的抑えやすいのが特徴です。また、たんぱく質は満腹感を得やすいため、食べ過ぎの予防にも役立ちます。
さらに、枝豆や豆腐にはビタミンB群、魚介類や卵には良質なたんぱく質が含まれており、これらの栄養素は肝臓で行われるアルコール代謝にも関わっています。ただし、これらの食品を食べてもアルコールの分解が速くなるわけではありません。あくまでも、飲酒時に不足しがちな栄養素を補う目的で取り入れることが大切です。
一方で、焼き鳥なら「皮」より「むね肉・ささみ」、サラダならマヨネーズたっぷりよりノンオイルや和風ドレッシングを選ぶなど、同じ料理でも脂質を抑える工夫ができます。
また、おつまみは一度にたくさん注文せず、食べ終えてから追加するようにすると、「目の前にあるから食べてしまう」という食べ過ぎを防ぎやすくなります。
ダイエット中のおすすめのお酒
ダイエット中は、「このお酒なら太らない」というものはありません。大切なのは、お酒の種類よりも飲酒量(純アルコール量)を適量に抑えることです。そのうえで選ぶなら、糖質が少なく、余分な糖分を含まないお酒がおすすめです。
ウイスキー
ダイエット中のお酒としておすすめなのがウイスキーです。ウイスキーは蒸留酒のため糖質がほとんど含まれておらず、ビールや日本酒、甘いカクテルと比べると糖質を抑えやすいという特徴があります。そのため、糖質を気にしている方でも選びやすいお酒の一つです。
おすすめの飲み方はハイボールです。炭酸水で割ることで余分な糖質を加えずに飲めるため、ダイエット中でも取り入れやすい飲み方といえます。また、炭酸には胃を膨らませて満腹感を促す作用があるとされており、飲み過ぎの抑制につながる可能性もあります。
焼酎
焼酎も蒸留酒のため糖質はほとんど含まれていません。水割りや炭酸割り、お湯割りなど、砂糖入りの飲料で割らなければ余分な糖質を抑えられます。
ジン・ウォッカ
ジンやウォッカなどの蒸留酒も糖質はほとんどありません。ソーダや水で割れば、糖質を抑えながら楽しめます。一方で、ジュースやシロップを加えたカクテルにすると糖質やカロリーが増えるため注意しましょう。
ビールや日本酒
ビールや日本酒は醸造酒のため、蒸留酒と比べると糖質を含んでいます。しかし、「ビールだから太る」「日本酒だからダメ」と決めつける必要はありません。ダイエットでは、お酒の種類だけでなく飲む量やおつまみの内容が体重管理に大きく影響します。ビールや日本酒を飲む場合でも適量を守ることで、ダイエットへの影響を抑えられます
ダイエット中のお酒選びの目安
| お酒 | 糖質の目安※ | ダイエットおすすめ度 |
|---|---|---|
| ハイボール | ほぼゼロ | ◎ |
| 焼酎 | ほぼゼロ | ◎ |
| ジン | ほぼゼロ | ◎ |
| ウォッカ | ほぼゼロ | ◎ |
| 辛口ワイン | 少量 | ○ |
| 一般的なビール | やや多い | △ |
| 甘いカクテル | 多い | × |
※糖質量の目安は一般的な商品を基準としています。ワインは辛口を想定しており、甘口ワインは糖質が多くなる場合があります。ビールも銘柄や糖質オフ・糖質ゼロ商品によって糖質量は異なります。
よくある質問(FAQ)
Q1. ダイエット中でも毎日お酒を飲んでも大丈夫?
適量であっても、毎日お酒を飲むことはあまりおすすめできません。厚生労働省も、飲酒による健康リスクは飲酒量だけでなく、飲む頻度も関係するとしています。ダイエットの面でも、毎日飲酒をすると摂取カロリーが積み重なりやすく、食欲が高まることで食べ過ぎにつながる可能性があります。体重管理だけでなく肝臓を休ませるためにも、週に数日は休肝日を設けることを意識しましょう。
Q2.糖質ゼロのお酒なら太りませんか?
いいえ、糖質ゼロでも飲み過ぎれば太る可能性があります。ハイボールや焼酎などの蒸留酒は糖質がほとんど含まれていませんが、アルコール自体には1gあたり約7kcalのエネルギーがあります。また、飲酒によって食欲が高まり、おつまみを食べ過ぎることも体重増加につながる要因です。糖質だけでなく、飲酒量や食事全体のバランスも意識しましょう。
Q3. お酒を飲んだ翌日は何を意識すればいいですか?
飲酒の翌日は、水分をしっかり補給し、高タンパク・低脂質の食事を心掛けましょう。また、軽いウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることで活動量を増やすこともおすすめです。ただし、「飲み過ぎたから運動で帳消しにしよう」と考えるのではなく、翌日以降も普段どおりの生活リズムに戻すことが大切です。
Q4. 筋トレ中はお酒を飲まない方がいい?
筋トレをしているからといって、お酒を完全にやめる必要はありません。しかし、筋肉を効率よく増やしたい場合は、飲酒量をできるだけ控えることが大切です。アルコールは体内で最優先に分解されるため、筋肉の修復や成長に必要な栄養素の利用が一時的に後回しになります。また、大量飲酒は筋タンパク質合成を低下させ、筋肉の回復を妨げる可能性があることが研究で報告されています。
一方で、適量の飲酒が筋トレの効果を大きく損なうという明確な証拠はありません。そのため、ダイエットや筋肥大を目指す場合は、「禁酒すること」ではなく、「飲み過ぎないこと」を意識することが重要です。筋トレをした日は飲酒量を控えめにし、高タンパクな食事と十分な睡眠を心掛けることで、筋肉の回復をサポートできます。
まとめ
ダイエット中だからといって、お酒を完全にやめる必要はありません。大切なのは、「お酒を飲むこと」ではなく、「どのように飲むか」を意識することです。アルコールには1gあたり約7kcalのエネルギーがあり、体内では最優先で分解されるため、一時的に脂肪燃焼が抑えられます。また、飲酒によって食欲が高まり、おつまみや締めの食事で摂取カロリーが増えやすくなることも、ダイエットの妨げになる要因です。
一方で、研究では適量の飲酒と体重増加との関連は一貫しておらず、大量飲酒では体重増加や肥満との関連がみられる傾向が報告されています。そのため、「お酒を飲むと必ず太る」と考えるのではなく、飲酒量や飲み方を工夫することが重要です。ダイエット中にお酒を楽しむためには、厚生労働省が推奨する純アルコール量を目安に飲み過ぎを避けること、ウイスキーや焼酎など糖質の少ないお酒を選ぶこと、高タンパク・低脂質のおつまみを組み合わせることを意識しましょう。
無理にお酒を我慢してストレスをためるよりも、適量を守りながら上手に付き合うことが、ダイエットを長く続けるためのコツです。今日からは「何を飲むか」だけでなく、「どれくらい飲むか」「何を一緒に食べるか」も意識して、お酒を楽しみながら健康的なダイエットを続けていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献
- 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
- Traversy G, Chaput JP. (2015). Alcohol Consumption and Obesity: An Update.
- Cains S, et al. (2017). Alcohol activates hunger-promoting AgRP neurons.
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA)「Alcohol Metabolism」
